第29回「物見山 鬼の挽き臼」

第29回チラシ

 第30回記念公演につながる舞台へと、制作委員会一同思い入れが強く始まった今回の舞台は、台本作成から力の入れ用が違った。一般公募した原作に対し、委員それぞれ意見を出し合い、応募者の1人に再度練り直しをしていただいた。
 その結果、とてもおもしろい脚本ができ、演出・キャストとも大乗りで練習が始まり、刺激を受けた市民センター職員は、かつてないほどの販売作戦を展開。3公演とも満席になる入り込みを記録した。
 意表をついたバレエの鬼の亡霊、照明による石臼からの金の噴出、華やかに締めていただいた一日市南部ばやし。スタッフとしてフル回転していただいた遠野町地域婦人団体協議会の皆さん。
 これまで、多くの方々に支えられてきたファンタジー公演は、今公演で遂に観劇者数7万を突破した。

第30回「お久世とロク~はかだちの響き~」

第30回チラシ

 30周年。その期待に応えられる作品をと、強い思い入れの中始まった制作委員会。題材は「おしらさま」か「デンデラ野」と委員の心の中で二分していた。
 応募作品は、おしらさまに関するものが数点寄せられたが、脚本化が難しいと判断され、委員が書き溜めていたデンデラ野に関する作品に決まった。
 例年より1ヶ月早くキャスト練習を始め、完璧に仕上がった演技で本番を迎えることができた。第2回公演でご出演いただいた御詠歌の皆さんも「デンデラ野」ならばと、30年近い年月を経て再出演してくださったほか、青笹しし踊りの皆さんにもご出演いただき、感動の場面を創造していただいた。
 衣装は遠野市地域婦人団体協議会の皆さんが取り組んでくださった。3ヶ月をかけた美術・大道具スタッフによる傑作の舞台セット。第2回の曲をベースに新しい曲を取り入れた作曲演奏陣。30年の技の蓄積がなす絶妙な音響照明。舞台公演に期待を込めて来場してくださった満員の観客。すべての方を魅了し、感動と涙と至福の余韻を残し、緞帳は下りた。
 公演終了後、舞台上で行われた30周年記念式典で過去の回想に浸り、新たな出発を誓い合った。

第31回「夫伝馬 酉蔵」

第31回チラシ

 平成17年10月1日、遠野市と宮守村が合併し、新「遠野市」が誕生。今公演を合併記念公演と位置づけ、宮守町に伝わる「酉蔵伝説」と遠野物語の「サムトの婆」の話を題材にした公演。
 サムトの婆を道先案内人として、恋する若い2人の哀しさ、貧困の中で生きる親と子の、そして家族の、夫婦の、あるいは藩主と領民の、それぞれの立場にあって、真実の愛とは何かを語りかけた。
 プロのメイク講師を招いて舞台メイク講習会を行い、観る人にも違いが分かる仕上がりとなった。そして、公演ぎりぎりまで製作活動に時間を要した舞台セットの数々。スケールの大きさと舞台セットの多さは圧巻だった。また、音響照明・演奏陣の効果的な演出による名シーンの数々。その臨場感が観客の涙を誘った。中通路に突如登場する入部行列の場面では、遠野市長が籠から現れて会場を沸かせたりと、終始目が離せない公演であった。
 原作と脚本を宮守町の阿部順吉氏(遠野物語ファンタジー制作委員会副委員長)が手がけたのをはじめ、郷土芸能には上宮守神楽保存会、キャスト・スタッフにも宮守町の青年会や婦人団体協議会などから多くの方々が参加し、遠野物語ファンタジーが名実ともに、新「遠野市」に引き継がれた。

第32回「いのち輝く花いちりん」

第32回チラシ

 30周年、合併と記念公演が続いたため、今回は題材をどこに求めるかということを焦点に始まった制作委員会。これまでは、旧町を持ち回りで物語の舞台に設定してきた経緯があるが、今回は場所や題材を設定せずに脚本を公募。1件の応募作品があったものの、舞台化が難しいとの理由から、過去の脚本検討委員会で提出されていた原案を脚本化することとし、脚本検討委員会を組織して、原作者との協議を重ねてきた。
 清心尼公が定めたへら持ち制度下において、目の見えない少女サキを中心に、家族や地域住民の絆を描いた心温まる作品となった。主役のサキをはじめ、子役の活躍が目立った公演であった。
 スタッフも、高校生など若手の新規参加者が多く、和やかな雰囲気で製作活動が行われ、大掛かりな舞台セットや斬新な衣装など、新たな風が感じられる趣向を凝らした舞台であった。特にも、色鮮やかな照明により織り成されたシーンは、観客を幻想的な世界へと誘った。

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