遠野物語ファンタジーライブラリー: 第13~16回
第13回「笛と童子」
“原点を問い直そう”の意気込みで、「笛と童子」をミニオペラ風にして再演した。初の試みでしたが、少年健太の熱演で、初演とは異なった舞台になった。が、問題は作曲の難しさや、歌唱力と表現方法である。今後の課題としてその向上が望まれる。遠野物語ファンタジーの原点・・・・・。単なる演劇公演ではない。オペラやミュージカルでもない。それは、ファンタジーという新しいジャンルであると言えよう。色々なジャンルの要素を取り入れ、郷土の民謡やわらべ歌、風習なども大切にする。可能なかぎり舞台の裏方が“やった!!”と思えるようなセットと美術も“オーバーな手法”で組み入れる。ダイナミックな生演奏もファンタジーならではである。より多くの市民が参加でき、“ああでもない、こうでもない”とみんなが創意を出し合えるような雰囲気と、本番では一人一人が全力を出し切ることが出来るような舞台、それがファンタジーの原点ではないだろうか。第37回河北文化賞を受賞した所以もその原点にあるのでは。
第14回「極楽を見てきた婆様」
初めて活字になっていない「昔話」をテーマに取り組んだ。婆様(老人)にとって真の生きがいとはなにか、を2幕10場のなかで訴えた。笑いと涙の舞台は、キャスト、スタッフの整然とした動きで感動を与えた。
舞台の善し悪しは脚本の内容で決まる事から、8月初旬には脚本検討委員会がもたれたが、論議白熱で二転三転のすえ、最終的に完成したのは12月下旬になった。例年より3週間も遅れたが、一同『集中した取り組みを』を合言葉に、連日遅くまで全力を挙げた。疲れきった参加者が一気に燃え上がったのは、本番当日のホールが立ち見も含め超満員になり、あったかい拍手が寄せられたときであった。舞台をつくる上で、観客の役割の大きさを改めて認識した舞台となった。
第15回「満月親子鹿」
真っ赤な証明とドライアイスの中にりりしく舞う“しし踊り”の勇壮さに、観客から大きな拍手が寄せられた。先人たちの手で守り育まれてきた郷土の文化遺産の心を舞台化し現代に生きる私たちがしっかりと受け止め今後に向けてさらに継承させていくことを誓い合った舞台公演でした。正に“遠野物語ファンタジー”の心そのものに共通するものとして参加者は「角助」に魅せられ燃え上がったのです。特に青年たちの意気込みの素晴らしさがたのもしく感じられました。
第16回「ごん兵衛参上!!」
柳田国男の「遠野物語」発刊をきっかけに作った佐々木喜善著「聴耳草紙」に初めて挑戦。特に、脚本・演出を青年たちが引き受け、新しい感覚が注入されました。また、キャストに若い人が多く、連日の厳しい稽古にもめげず、悩み苦しみながら本番にこぎつけました。一般的に「今の若者は・・・」などど、非手的な言い方をする人もおりますが、ファンタジーの世界では、青年たちの自覚と奮闘振りが光っています。
一方、中年や高齢者も舞台づくりの上で大きな役割をはたしました。「市民の舞台」15年の貴重な体験はもとより、これまでの人生経験が思わぬところで生かされ、若い人たちをびっくりさせました。
夢見息子「ごん兵衛」が見た夢、それは天空のきらびやかな世界。先人たちは、厳しい生活の中で、時には楽しい夢に浸りながら明日への希望を託したのでしょうか。
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遠野市民センター/遠野物語ファンタジー制作委員会事務局
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