市民の舞台「遠野物語ファンタジー」とは
1 市民の舞台「遠野物語ファンタジー」とは
遠野市は、柳田國男の『遠野物語』で全国的にその名が知られるようになりました。本市には、柳田國男と交流のあった遠野市土淵町出身の佐々木喜善による『聴耳草紙』や、語り部たちによる口承民話など、多くの昔話が伝わっています。これらの昔話や当市の歴史などを題材に、市民が脚本からキャスト、スタッフまで全てを担い、舞台化するのが「市民の舞台 遠野物語ファンタジー」です。
遠野物語ファンタジーは、昭和51年の初演以来、毎年開催されており、令和7年2月には50回目の記念公演を迎えました。これまでに延べ10万人を超える観客が来場しています。
2 遠野物語ファンタジーができたきっかけ
昭和46年に「遠野市民センター」が完成し、これまで一般的な公共ホールの自主文化事業としてプロの劇団の興行などを行っていましたが、入場者数は伸び悩んでいました。
一方、市の青年会では芝居をやってみたい、また、演劇を通して地元の人たちと交流を図りたいという話が持ち上がっていました。
この両者の目標が一つとなり、市民会館と中央公民館の複合施設である市民センターの自主事業として実施することが決まりました。
初めての試みとして、まず演劇の経験者、音楽の指導者、市の職員など15名が集まり企画委員会を設立しました。その中で、音楽に関しては作曲から本番の生演奏まで、そして郷土芸能も出演するという、現在の公演にまで受け継がれているファンタジーの形が作られました。
第1回公演の方向性が決まり、市職員が書き上げた原作・脚本に参加者が集い、また、市民の間でも市民センターのはじめての試みを応援するムードが高まり、昭和51年3月14日(日)の第1回の公演は参加者250人、客席も2回の公演とも満席の延べ2,000人と大成功に終わりました。
その後、運営主体は変化し、昭和59年の第9回公演からは、遠野物語ファンタジー制作委員会が官民一体の推進組織として、市民の舞台をつくっています。
3 遠野物語ファンタジーのねらい
以下の4つを掲げています。
- 原作、脚本、スタッフ、キャストなどすべて市民の手で行い、創作活動の向上を目指す。
- 失われつつある貴重な郷土の文化遺産と、先人の生活実態を伝承し保存する。
- 芸術文化の総合的発展と豊かな情操を培う。
- 市民の連帯意識を高め、住みよい地域づくりの糧とする。
4 脚本の特色
遠野物語ファンタジー制作委員会では、遠野物語ファンタジーの脚本を、遠野市民や遠野市出身者から募集しています。
募集の際は、次の5項目をすべて満たす作品であることを求めています。
- 遠野市に伝わる民話や歴史を題材にした作品であること
- 上演時間は、15分の休憩を含めて1時間半から2時間以内を目安にすること
- 他の団体に対し未公開、未上演、未応募の作品であること
- 子供から大人まで15人から30人程度の出演者があること
- 郷土芸能団体、遠野市民センターバレエスタジオの生徒が出演する場を設けること
5 遠野物語ファンタジーの参加者と入場者について
キャストやスタッフは、子供からお年寄りまで、そして様々な職業の多くの市民がこのファンタジーに参加しています。
公演では、遠野市民センターバレエスタジオの生徒によるクラシックバレエの披露や、地元の郷土芸能団体の出演があります。さらに、ファンタジー・ミュージック・アンサンブルによる生演奏と合唱が、ファンタジーの世界を華やかに彩ります。
第1回から第50回までの遠野物語ファンタジーには、延べ16,882人が参加し、入場者数は105,146人に達しました。第50回の記念公演では、299人が参加し、2公演合わせて1,202人が入場しました。
6 遠野物語ファンタジーができるまで
[2月上旬] 脚本募集開始(前回公演パンフレットで告知)
[4月下旬] 第1回制作委員会(事業計画、予算審議)
脚本募集締切。脚本検討委員会を随時開催
[5月中旬] 原案選考会にて原案決定
[8月下旬] 第2回制作委員会(脚本決定、演出・監督の決定)
スタッフ・キャストの募集開始
[9月下旬] キャスト顔合わせ会
[10月中旬] 練習(稽古)開始
[11月中旬] 第1回スタッフ会議(以降、適宜開催)
[11月下旬] 旗揚げ会
[12月上旬] チケット販売開始
[1月中旬] 第3回制作委員会(次回公演日程の決定等)
演奏(ミュージックアンサンブル)合同練習
[1月下旬] 舞台総見
[公演5日前]舞台転換リハーサル
[公演3・4日前]リハーサル
[公演前々日・前日]ゲネプロ(通し稽古)
[公演当日(土)]第1回公演 開演:午後6時半
[公演当日(日)]第2回公演 開演:午後1時
6 表彰歴
- サントリー文化財団 地域文化賞最優秀賞(昭和58年)
- 潤いのあるまちづくり自治大臣表彰(昭和59年)
- 岩手県教育委員会表彰(昭和60年)
- 河北新報社 第37回河北文化賞(昭和63年)
- 国土長官賞 全国地域づくり表彰(平成元年)
- 岩手日報社 第53回文化賞[社会部門](平成12年)
- 第9回優秀観光地づくり賞 金賞[国土交通大臣賞](平成14年)
- 全国自治体学会田村明まちづくり賞(平成27年)
- 遠野遺産認定(令和2年)
- いわて暮らしの文化特別知事表彰(令和3年)
7 遠野物語ファンタジーポスターギャラリー
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第1回 笛と童子 |
第2回 でんでら野の夜明け |
第3回 夕日の小弥太 |
第4回 お月お星の涙 |
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第5回 黄金の牛 |
第6回 母泣き明神 |
第7回 十五夜のむじな堂 |
第8回 石仏の音 |
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第9回 羽衣の詩 |
第10回 風のよどむ淵 |
第11回 かぶ焼き殿様 |
第12回 天竜の角 |
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第13回 笛と童子 |
第14回 極楽を見てきた婆様 |
第15回 満月親子鹿 |
第16回 ごん兵衛参上 !! |
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第17回 酒っこの好きな女房どの |
第18回 南部小雀の怒り |
第19回 お仙が淵の眼なし竜 |
第20回 峠物語り~むがすっこマヨイガ~ |
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第21回 つぶ殿の嫁っこ |
第22回 マタギの鵺 |
第23回 狐に憑かれた男 |
第24回 長須太から来た嫁 |
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第25回 蓮華淵の子守唄 |
第26回 跳れ八十八 |
第27回 平太、何処に |
第28回 はっけよい弥助 |
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第29回 物見山 鬼の挽き臼 |
第30回 お久世とロク~はかだちの響き~ |
第31回 夫伝馬 酉蔵 |
第32回 いのち輝く花いちりん |
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第33回 まま娘のおかん |
第34回 火渡館の変 |
第35回 オシラサマ昇天 |
第36回 袖ヶ沢 月下の桜 |
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第37回 お父恋し吹雪の夜 |
第38回 ~高清水・妖やし物語~ぼんず |
第39回 河童のやんたろう |
第40回 でんでらぱらだいす |
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第41回 お月お星の涙 |
第42回 目覚めよ!進尽~未だ忍峠~ |
第43回 又吉のまた夢 |
第44回 天人子~まごころの贈り物~ |
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第45回 座敷わらしの白い花 |
第46回 遠野猫譚 |
第47回 きつねの絵筆 |
第48回 きつねの絵筆 |
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第49回 卯子酉の淵 |
第50回 遠野はじまり物語2025 ~Origin of Tono~
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お問い合わせ
遠野市民センター/遠野物語ファンタジー制作委員会事務局
TEL:0198-62-6191
FAX:0198-62-6195